LEGAL REFERENCES
法令・判例の参考情報と凡例
コラム・M&A用語集・よくあるご質問・お悩みから探す・業種から探す・スキームから探すの各ページでは、内容に関わる法令と判例を「参考情報」として掲載しています。このページでは、表記の決まり(凡例)と、掲載している法令・判例の一覧をご覧いただけます。
掲載している内容は、一般的な情報の提供を目的としたもので、個別の事案に対する法的な助言ではありません。法令の適用や判例の評価は、事案によって異なります。実際のご判断にあたっては、弁護士・税理士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。
凡例
基準日
法令は、2026年10月17日時点の内容です。その後の法改正で、条の番号や内容が変わることがあります。基準日の時点で施行前の法律は、施行の日を添えて示します。
法令の表記
- 法令は、正式な名称と法令番号(例:会社法〔平成17年法律第86号〕)で示します。
- 名称の長い法令は、次の略称を使います。
- 労働契約承継法
- 会社分割に伴う労働契約の承継等に関する法律(平成12年法律第103号)
- 経営承継円滑化法
- 中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(平成20年法律第33号)
- 個人情報保護法
- 個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)
- 独占禁止法
- 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号)
- 金商法
- 金融商品取引法(昭和23年法律第25号)
- 早期事業再生法
- 円滑な事業再生を図るための事業者の金融機関等に対する債務の調整の手続等に関する法律(令和7年法律第67号)
- 労働者派遣法
- 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和60年法律第88号)
- 電気工事業法
- 電気工事業の業務の適正化に関する法律(昭和45年法律第96号)
- 薬機法
- 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)
- 廃棄物処理法
- 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)
- 再エネ特措法
- 再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法(平成23年法律第108号)
- 資金決済法
- 資金決済に関する法律(平成21年法律第59号)
- 条文は「第467条」「第182条の4」のように示し、項・号は「第2条第6項」「第27条第5項第2号」のように示します。法律の本体の後に置かれる経過措置などは「附則第143条」のように示します。
- ( )内は、条文の見出しです。見出しのない条文は、条の番号だけを示します。
- 要旨は、当社が条文の内容を平易にまとめたもので、条文の全文ではありません。正確な内容は、リンク先の e-Gov 法令検索(デジタル庁)でご確認ください。
判例の表記
- 判例は、裁判所・年月日(元号と西暦)・判決または決定の別・通称を1行目に示し、要旨の後に事件番号と掲載誌を示します。
- 「(オ)」「(受)」「(許)」は、最高裁判所の事件の種類を表す符号です(上告・上告受理の申立て・許可抗告など)。
- 掲載誌の略称:民集=最高裁判所民事判例集、集民=最高裁判所裁判集民事。判例時報、金融・商事判例、労働判例は略さずに示します。
- 「〇〇事件」は、一般に呼ばれている名前(通称)です。
- 裁判所ウェブサイトに掲載のある判例は、そのページへのリンクを付けています。掲載のないものは、掲載誌や公的機関の資料で内容を確かめています。
- 要旨は、当社が判断の要点をまとめたものです。判例の射程(どこまで当てはまるか)は、事案の事実関係によって異なります。
掲載している法令
条文ごとに、その条文に触れているページ(コラム・用語・よくあるご質問・お悩み・業種・スキーム)を示しています。
会社法
第21条(譲渡会社の競業の禁止)
事業を譲渡した会社は、別段の意思表示がない限り、同一・隣接の市町村の区域内で、譲渡の日から20年間、同一の事業を行うことができません。競業を禁じる特約は30年を限度に効力を持ち、不正の競争の目的での同一の事業は、区域や期間にかかわらず禁じられます。
第22条(譲渡会社の商号を使用した譲受会社の責任等)
事業を譲り受けた会社が、譲渡した会社の商号を引き続き使う場合は、譲渡した会社の事業によって生じた債務を弁済する責任を負います。遅滞なく、責任を負わない旨を登記するか、債権者に通知した場合は除かれます。
第23条の2(詐害事業譲渡に係る譲受会社に対する債務の履行の請求)
譲渡した会社が、残る債権者を害することを知って事業を譲渡した場合、残る債権者は、譲り受けた会社(その会社も害することを知っていた場合)に対し、承継した財産の価額を限度として、債務の履行を請求できます。
第107条第1項第1号(株式の内容についての特別の定め)
株式会社は、発行する全部の株式の内容として、譲渡による取得に会社の承認を要することを定めることができます(定款に定める事項は第2項第1号)。
- 用語譲渡制限株式
第108条第1項第8号(異なる種類の株式)
株主総会(取締役会設置会社では株主総会または取締役会、清算人会設置会社では株主総会または清算人会)で決議すべき事項のうち、その決議に加えて、その種類の株主による種類株主総会の決議を必要とするものを定めた種類株式(いわゆる拒否権付種類株式・黄金株)を発行することができます。
第136条(株主からの承認の請求)
譲渡制限株式の株主は、株式を他人に譲り渡そうとするとき、会社に対し、その他人が取得することを承認するかどうかの決定を請求できます。
第174条(相続人等に対する売渡しの請求に関する定款の定め)
会社は、相続などにより譲渡制限株式を取得した者に対し、その株式を会社に売り渡すよう請求できる旨を、定款で定めることができます。
第179条(株式等売渡請求)
総株主の議決権の10分の9以上を有する株主(特別支配株主)は、ほかの株主の全員に対し、その有する株式の全部を自分に売り渡すよう請求できます。
第180条(株式の併合)
会社は、株主総会の決議で、併合の割合や効力の発生する日などを定めて、株式の併合をすることができます。取締役は、併合を必要とする理由を説明しなければなりません。
第182条の4(反対株主の株式買取請求)
株式の併合によって1株に満たない端数が生じる場合、反対する株主は、端数となる株式の全部を公正な価格で買い取るよう、会社に請求できます。
第197条(株式の競売)
株主への通知や催告が5年以上継続して届かず、継続して5年間剰余金の配当も受け取られていない株式について、会社は競売し、または裁判所の許可などを得て売却し、その代金を株主に交付することができます(いわゆる所在不明株主の株式の整理)。
第309条(株主総会の決議)
株主総会の決議は、原則として出席した株主の議決権の過半数で行います。事業譲渡や組織再編、株式の併合などは、議決権の過半数を持つ株主が出席し、その議決権の3分の2以上の賛成による決議(特別決議)が必要です。
第467条(事業譲渡等の承認等)
事業の全部の譲渡や、重要な一部の譲渡(譲り渡す資産の帳簿価額が総資産額の5分の1を超えるもの)、一定の子会社の株式の譲渡、他の会社の事業の全部の譲受けなどを行う場合は、効力が生じる日の前日までに、株主総会の決議で契約の承認を受けなければなりません。
第469条(反対株主の株式買取請求)
事業譲渡などを行う場合、反対する株主は、自分の株式を公正な価格で買い取るよう、会社に請求できます(事業の全部の譲渡と同時に解散の決議をした場合などを除きます)。
- 用語少数株主
第510条(特別清算開始の原因)
裁判所は、清算株式会社に、清算の遂行に著しい支障を来すべき事情があるとき、または債務超過の疑いがあるときは、申立てにより特別清算の開始を命じます。
第749条(株式会社が存続する吸収合併契約)
存続会社が株式会社である吸収合併契約で定める事項(当事会社の商号・住所、合併の対価とその割当て、新株予約権の取扱い、効力発生日など)を定めています。
- 用語合併
- スキーム合併・株式交換・株式移転によるグループ再編
第750条(株式会社が存続する吸収合併の効力の発生等)
吸収合併の存続株式会社は、効力発生日に消滅会社の権利義務を承継します。債権者の異議の手続(第789条・第799条)が終了していない場合や、合併を中止した場合は、効力が生じません(第6項)。
第757条(吸収分割契約の締結)
株式会社と合同会社は吸収分割をすることができ、その場合、事業に関する権利義務を承継する会社との間で、吸収分割契約を結ばなければなりません。
第758条(株式会社に権利義務を承継させる吸収分割契約)
承継する会社が株式会社である吸収分割の契約には、当事者の商号と住所、承継する資産・債務・雇用契約その他の権利義務、対価、効力の発生する日などを定めなければなりません。
- 用語吸収分割
- スキーム会社分割によるM&A
第759条(株式会社に権利義務を承継させる吸収分割の効力の発生等)
承継する会社は、効力の発生する日に、契約の定めに従って分割する会社の権利義務を承継します。各別の催告を受けなかった債権者は分割した会社・承継した会社に対して、詐害的な分割で残された債権者は承継した会社に対して(承継した財産の価額を限度に)、債務の履行を請求することができます。
- コラム赤字でも売れる会社、黒字でも売れない会社
- コラム会社分割で「売れる形」に組み替えるという選択
- 用語会社分割
- 用語吸収分割
- 用語債権者保護手続
- 用語包括承継と個別承継
- 用語第二会社方式
- よくあるご質問赤字続きですが、売却は可能でしょうか。
- お悩み一部の事業だけを切り出して譲りたいとき
- スキーム会社分割によるM&A
第767条(株式交換契約の締結)
株式会社は株式交換をすることができ、発行済株式の全部を取得する会社(株式会社または合同会社)との間で、株式交換契約を締結しなければなりません。
第768条(株式会社に発行済株式を取得させる株式交換契約)
完全親会社が株式会社である株式交換契約で定める事項(当事会社の商号・住所、交換の対価とその割当て、新株予約権の取扱い、効力発生日など)を定めています。
第772条(株式移転計画の作成)
一または二以上の株式会社は株式移転をすることができ、その場合には株式移転計画を作成しなければなりません。
第773条(株式移転計画)
株式移転計画で定める事項(設立する完全親会社の目的・商号・本店の所在地・発行可能株式総数、設立時の役員、完全子会社の株主に交付する株式の数とその割当てなど)を定めています。
第784条(吸収合併契約等の承認を要しない場合)
消滅会社等の側で、相手方(存続会社等)が特別支配会社である場合(略式)は、株主総会の承認を要しません。吸収分割で承継させる資産の帳簿価額の合計が総資産額の5分の1以下の場合(簡易)も承認を要しません。
第785条(反対株主の株式買取請求)
吸収合併等をする場合、消滅株式会社等の反対株主は、自己の株式を公正な価格で買い取ることを会社に請求することができます(簡易の手続の場合などを除きます)。請求は、効力発生日の20日前から前日までに行います。
- 用語少数株主
- 用語合併
- 用語株式交換
- スキーム合併・株式交換・株式移転によるグループ再編
第789条(債権者の異議)
吸収合併等で消滅株式会社等の債権者が異議を述べることができる場合、会社は官報に公告し、知れている債権者に各別に催告しなければなりません(期間は1か月以上)。異議があれば、弁済・担保の提供などを行います。吸収分割では、分割の後に分割会社に請求できない債権者が対象です。
第796条(吸収合併契約等の承認を要しない場合等)
存続会社等の側で、相手方が特別支配会社である場合(略式)と、交付する対価の額が純資産額の5分の1以下の場合(簡易)は、株主総会の承認を要しません。簡易の場合でも、法務省令で定める数の株式を有する株主が反対を通知したときは、承認が必要です(第3項)。
第799条(債権者の異議)
吸収合併等で存続株式会社等の債権者が異議を述べることができる場合(吸収合併・吸収分割の承継会社の債権者、株式交換で対価が株式以外を含む場合の親会社の債権者など)の、公告・催告と弁済などの手続を定めています。
第805条(新設分割計画の承認を要しない場合)
新設分割で設立会社に承継させる資産の帳簿価額の合計額が、分割会社の総資産額の5分の1以下の場合は、株主総会の承認を要しません(簡易新設分割)。
- 用語簡易組織再編
- スキーム会社分割によるM&A
第806条(反対株主の株式買取請求)
新設合併等をする場合、消滅株式会社等の反対株主は、自己の株式を公正な価格で買い取ることを会社に請求することができます(簡易新設分割の場合などを除きます)。請求は、通知・公告の日から20日以内に行います。
第810条(債権者の異議)
新設合併等で消滅株式会社等の債権者が異議を述べることができる場合の、公告・催告(期間は1か月以上)と弁済などの手続を定めています。
民法
第415条(債務不履行による損害賠償)
債務者が債務の本旨に従った履行をしないとき、または履行ができないときは、債権者は損害の賠償を請求できます(債務者の責めに帰することができない事由による場合を除きます)。
第465条の2(個人根保証契約の保証人の責任等)
個人が保証人となる根保証契約(個人根保証契約)の保証人は、極度額を限度として責任を負います。極度額を定めなければ、契約は効力を生じません(極度額の定めは書面または電磁的記録によります)。
第472条(免責的債務引受の要件及び効果)
免責的債務引受では、引き受ける者が同じ内容の債務を負い、もとの債務者は債務を免れます。債権者と引き受ける者との契約(債務者への通知で効力が生じます)、または債務者と引き受ける者との契約に債権者が承諾することで行います。
第521条(契約の締結及び内容の自由)
法令に特別の定めがある場合を除き、契約をするかどうか、また法令の制限の範囲内で契約の内容を、自由に決めることができます。
第539条の2
契約の当事者の一方が、第三者との間で契約上の地位を譲り渡す合意をし、契約の相手方がこれを承諾したときは、契約上の地位は、その第三者に移ります(第3款「契約上の地位の移転」)。
第625条(使用者の権利の譲渡の制限等)
使用者は、労働者の承諾を得なければ、その権利を第三者に譲り渡すことができません。
第1042条(遺留分の帰属及びその割合)
兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分を算定するための財産の価額に、直系尊属のみが相続人の場合は3分の1、それ以外の場合は2分の1を乗じた額を遺留分として受けます。相続人が複数の場合は、さらに各自の法定相続分を乗じます。
第1046条(遺留分侵害額の請求)
遺留分権利者とその承継人は、受遺者または受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができます(平成30年の改正で、金銭での請求に改められています)。
- 用語遺留分
会社分割に伴う労働契約の承継等に関する法律(以下「労働契約承継法」)
第2条(労働者等への通知)
会社分割をする会社は、承継される事業に主として従事する労働者などに対し、期限までに、労働契約が承継されるかどうか、異議を申し出る期限などを、書面で通知しなければなりません。
第3条(承継される事業に主として従事する労働者に係る労働契約の承継)
承継される事業に主として従事する労働者の労働契約で、分割の契約などに承継する旨の定めがあるものは、分割の効力が生じる日に、承継する会社に承継されます。
第4条
承継される事業に主として従事する労働者で、分割の契約などに承継する旨の定めがない者は、書面で異議を申し出ることができ、申し出たときは、その労働契約は承継する会社に承継されます。
第5条(その他の労働者に係る労働契約の承継)
主として従事する労働者以外の者で、分割の契約などに承継する旨の定めがある者は、書面で異議を申し出ることができ、申し出たときは、その労働契約は承継されません。
商法等の一部を改正する法律
附則第5条(労働契約の取扱いに関する措置)
会社分割をする会社は、労働契約承継法第2条第1項の通知をすべき日までに、労働者と協議をするものとされています(いわゆる5条協議)。
労働基準法
第37条(時間外、休日及び深夜の割増賃金)
時間外・休日の労働には政令で定める率以上の割増賃金を、1か月60時間を超える時間外労働には5割以上の割増賃金を、深夜の労働には2割5分以上の割増賃金を、支払わなければなりません。
第115条(時効)
この法律による賃金の請求権は5年間、災害補償その他の請求権(賃金を除きます)は2年間行わない場合は、時効によって消滅します。
附則第143条
当分の間、第115条の適用については、退職手当を除く賃金の請求権の時効は3年間とされています(退職手当の請求権は5年間)。
不正競争防止法
第2条第6項(定義)
「営業秘密」とは、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上または営業上の情報で、公然と知られていないものをいいます。
建設業法
第17条の2(譲渡及び譲受け並びに合併及び分割)
建設業の全部の譲渡や、合併、分割について、あらかじめ国土交通大臣または都道府県知事の認可を受けたときは、譲り受けた者や、合併・分割の後の法人が、建設業者としての地位を承継します。
中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(以下「経営承継円滑化法」)
第4条(会社事業後継者が取得した株式等又は個人事業後継者が取得した事業用資産に関する遺留分の算定に係る合意等)
旧代表者の推定相続人の全員と会社事業後継者は、書面による合意で、後継者が贈与などにより取得した株式等について、遺留分を算定するための財産の価額に算入しないこと(除外合意)、または算入する価額を合意の時の価額に固定すること(固定合意。弁護士・公認会計士・税理士などの証明が必要)を定めることができます。ただし、合意の対象とした株式等を除いた後継者の持株の議決権が総株主の議決権の50%を超える場合は、この合意はできません。個人事業の事業用資産についても、除外合意ができます(第3項)。
第12条(経済産業大臣の認定)
会社である中小企業者(上場会社を除きます)、個人である中小企業者、または事業を営んでいない個人は、代表者の死亡や退任などに伴う経営の承継により事業活動の継続に支障が生じていること、他の中小企業者の経営を承継するために不可欠な資産を譲り受けることなど、各号に定める事由に該当することについて、経済産業大臣の認定を受けることができます。この認定が、金融支援や事業承継税制(納税猶予)の前提となります。
第15条(所在不明株主の株式の競売及び売却に関する特例)
経済産業大臣の認定(事務は都道府県知事が行います)を受けた一定の中小企業は、会社法第197条の所在不明株主の株式の競売・売却について、通知の不到達と配当の不受領の期間を、5年から1年に短縮することができます(3か月以上の異議の申述の期間の公告などが必要です)。
租税特別措置法
第37条の10(一般株式等に係る譲渡所得等の課税の特例)
居住者などが非上場株式などの一般株式等を譲渡した場合の譲渡所得などは、ほかの所得と区分し、その15%の所得税を課す申告分離課税とされています(住民税5%と復興特別所得税をあわせて、20.315%)。
第70条の7の5(非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除の特例)
経営承継円滑化法の認定を受けた会社の非上場株式等を、特例贈与者が特例経営承継受贈者に贈与した場合、一定の要件のもとで贈与税の納税が猶予され、その後に免除される特例(事業承継税制の特例措置)です。対象となる贈与の期間は、2027年12月31日までです。
第70条の7の6(非上場株式等についての相続税の納税猶予及び免除の特例)
特例被相続人から相続または遺贈により特例認定承継会社の非上場株式等を取得した場合、一定の要件のもとで相続税の納税が猶予され、その後に免除される特例です。対象となる相続・遺贈の期間は、2027年12月31日までです。
消費税法
第4条第1項(課税の対象)
国内において事業者が行った資産の譲渡等には、消費税が課されます。事業譲渡では、譲り渡す個々の資産ごとに判断し、土地や有価証券など非課税とされる資産を除いて、課税の対象となります。
個人情報の保護に関する法律(以下「個人情報保護法」)
第27条第5項第2号(第三者提供の制限)
合併その他の事由による事業の承継に伴って個人データが提供される場合、提供を受ける者は第三者にあたらず、本人の同意は必要とされません。
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独占禁止法」)
第10条
一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる株式の取得・所有を禁止し、国内の売上高などの基準を満たす株式の取得について、あらかじめ公正取引委員会に届け出ることを求めています。
- 用語ロールアップ
法人税法
第2条第12号の8(定義)
適格合併の定義です。被合併法人の株主等に合併法人(または合併親法人)の株式以外の資産が交付されない合併のうち、完全支配関係があるもの、支配関係があり従業者の引継ぎ・事業の継続の要件を満たすもの、共同で事業を行うためのものの、いずれかに該当するものをいいます。
- 用語合併
- 用語適格組織再編
- スキーム合併・株式交換・株式移転によるグループ再編
第2条第12号の11(定義)
適格分割の定義です。分割の対価として分割承継法人(または分割承継親法人)の株式以外の資産が交付されない分割のうち、完全支配関係があるもの、支配関係があり主要な資産・負債の移転、従業者の引継ぎ・事業の継続の要件を満たすもの、共同で事業を行うためのもの、独立して事業を行うためのもの(スピンオフ)の、いずれかをいいます。
- コラム会社分割で「売れる形」に組み替えるという選択
- 用語適格組織再編
- 用語スピンオフ
- スキーム会社分割によるM&A
第2条第12号の17(定義)
適格株式交換等の定義です。完全子法人の株主等に完全親法人(または完全支配親法人)の株式以外の資産が交付されない株式交換等のうち、完全支配関係・支配関係(従業者の引継ぎ・事業の継続)・共同事業のいずれかの要件を満たすものをいいます。
第2条第12号の18(定義)
適格株式移転の定義です。完全子法人の株主に完全親法人の株式以外の資産が交付されない株式移転のうち、完全支配関係・支配関係・共同事業のいずれかの要件を満たすものをいいます。
第34条第2項(役員給与の損金不算入)
内国法人が役員に支給する給与のうち、不相当に高額な部分として政令で定める金額は、損金に算入されません。役員の退職給与の過大な部分も、この項により損金不算入となります。
第62条の2(適格合併及び適格分割型分割による資産等の帳簿価額による引継ぎ)
内国法人が適格合併により合併法人に資産・負債を移転したときは、最後の事業年度の終了の時の帳簿価額で引き継いだものとして所得を計算します。適格分割型分割の場合も、直前の帳簿価額で引き継いだものとします。
- 用語合併
- 用語適格組織再編
- スキーム合併・株式交換・株式移転によるグループ再編
金融商品取引法(以下「金商法」)
第27条の2第1項(発行者以外の者による株券等の公開買付け)
有価証券報告書の提出義務のある発行者等の株券等について、買付け後の株券等所有割合(特別関係者の分を加えます)が100分の30を超える買付け等は、公開買付けによらなければなりません(第1号)。市場外の買付けで所有割合が100分の5を超える場合も対象です(第2号)。
第32条(対象議決権保有届出書の提出等)
第一種金融商品取引業または投資運用業を行う金融商品取引業者の主要株主となった者は、対象議決権保有割合・保有の目的などを記載した対象議決権保有届出書を、遅滞なく内閣総理大臣に提出しなければなりません。
著作権法
第15条(職務上作成する著作物の著作者)
法人等の発意にもとづき、その業務に従事する者が職務上作成し、法人等の名義で公表する著作物の著作者は、契約・勤務規則などに別段の定めがない限り、法人等となります。プログラムの著作物は、公表の名義を問わず、別段の定めがない限り法人等が著作者です(第2項)。
特許法
第35条(職務発明)
従業者等がした職務発明について、使用者等は通常実施権を有し、契約・勤務規則などであらかじめ定めれば、特許を受ける権利はその発生の時から使用者等に帰属します(第3項)。その場合、従業者等は相当の金銭その他の経済上の利益を受ける権利を有します(第4項)。
- 用語知的財産の帰属
商法
民事再生法
第1条(目的)
経済的に窮境にある債務者について、債権者の多数の同意と裁判所の認可を受けた再生計画を定めることなどにより、債務者と債権者の権利関係を調整し、事業または経済生活の再生を図ることを目的とする法律です。
- コラム資金繰りが厳しい局面での、金融機関との向き合い方
- 用語民事再生
- 用語法的整理
- 用語事業再生
- スキーム再生型M&A(事業再生とM&A)
第21条(再生手続開始の申立て)
債務者は、破産手続開始の原因となる事実が生じるおそれがあるとき、または事業の継続に著しい支障を来すことなく弁済期にある債務を弁済することができないときに、再生手続開始の申立てをすることができます。前者の場合は、債権者も申立てをすることができます(第2項)。
会社更生法
第1条(目的)
窮境にある株式会社について、更生計画の策定と遂行の手続を定めることなどにより、債権者・株主その他の利害関係人の利害を調整し、事業の維持更生を図ることを目的とする法律です。
- 用語会社更生
- 用語法的整理
- スキーム再生型M&A(事業再生とM&A)
第17条(更生手続開始の申立て)
株式会社は、破産手続開始の原因となる事実が生じるおそれがある場合、または弁済期にある債務を弁済すると事業の継続に著しい支障を来すおそれがある場合に、更生手続開始の申立てをすることができます。前者の場合は、資本金の額の10分の1以上の債権を持つ債権者や、総株主の議決権の10分の1以上を持つ株主も申立てをすることができます(第2項)。
- 用語会社更生
破産法
第15条(破産手続開始の原因)
債務者が支払不能にあるときは、裁判所は、申立てにより決定で破産手続を開始します。債務者が支払を停止したときは、支払不能にあるものと推定されます(第2項)。
第30条(破産手続開始の決定)
裁判所は、破産手続開始の申立てがあり、開始の原因となる事実があると認めるときは、費用の予納がない場合や、不当な目的による申立てその他誠実にされたものでない申立ての場合を除き、破産手続開始の決定をします。決定は、その時から効力を生じます(第2項)。
- 用語破産
産業競争力強化法
第2条第22項(定義)
「特定認証紛争解決事業者」とは、裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律の認証紛争解決事業者のうち第47条第1項の認定を受けたもの(第22項)、「特定認証紛争解決手続」とは、その事業者が事業再生に係る紛争について行う認証紛争解決手続(第23項)をいいます。いわゆる事業再生ADRの定義です。
- 用語事業再生ADR
- 用語私的整理
- スキーム再生型M&A(事業再生とM&A)
第47条(認証紛争解決事業者の認定)
事業再生に係る紛争を取り扱う認証紛争解決事業者は、事業再生の専門的な知識・実務の経験を持つ手続実施者を選任できることなどの要件に適合することについて、経済産業大臣の認定を受けることができます。
- 用語事業再生ADR
円滑な事業再生を図るための事業者の金融機関等に対する債務の調整の手続等に関する法律(以下「早期事業再生法」)
第1条(目的)
経済的に窮境に陥るおそれのある事業者の早期の円滑な事業再生を促すため、公正かつ中立な第三者が関与し、金融機関等である債権者の一定割合以上の多数の同意と裁判所の認可を受けた決議により、金融機関等に対する債務の権利関係を調整することができる手続などを定めることを目的とする法律です(2026年12月11日施行)。
労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(以下「労働者派遣法」)
第5条(労働者派遣事業の許可)
労働者派遣事業を行おうとする者は、厚生労働大臣の許可を受けなければなりません。申請書には、事業所ごとの事業計画書などを添付します。
職業安定法
第30条(有料職業紹介事業の許可)
有料の職業紹介事業を行おうとする者は、厚生労働大臣の許可を受けなければなりません。申請書には、事業所ごとの事業計画書などを添付し、手数料を納付します。
労働契約法
第9条(就業規則による労働契約の内容の変更)
使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできません(第10条の場合を除きます)。
第10条
就業規則の変更により労働条件を変更する場合、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、不利益の程度、変更の必要性、内容の相当性、労働組合等との交渉の状況などに照らして変更が合理的なものであるときは、労働条件は変更後の就業規則によることとなります。ただし、就業規則の変更によっては変更しないものとして労働者と使用者が個別に合意していた労働条件は、就業規則を下回る場合を除き、変更されません。
- 用語人事制度の統合
健康保険法
第193条(時効)
保険料等を徴収し、またはその還付を受ける権利と、保険給付を受ける権利は、これらを行使することができる時から2年を経過したときに、時効によって消滅します。納入の告知または督促は、時効の更新の効力を持ちます(第2項)。
厚生年金保険法
第92条(時効)
保険料その他の徴収金を徴収し、またはその還付を受ける権利は、行使することができる時から2年を経過したときに、時効によって消滅します(保険給付を受ける権利は5年です)。納入の告知または督促は、時効の更新の効力を持ちます(第4項)。
宅地建物取引業法
第3条(免許)
宅地建物取引業を営もうとする者は、二以上の都道府県に事務所を置く場合は国土交通大臣、一の都道府県のみの場合は都道府県知事の免許を受けなければなりません。免許の有効期間は5年で、継続する場合は更新が必要です。
第11条(廃業等の届出)
宅地建物取引業者が死亡・合併により消滅・破産・解散・廃業したときは、相続人や役員であった者などが30日以内に届け出なければならず、破産・解散・廃業の届出で免許は効力を失います。宅地建物取引業法には、事業譲渡・合併による免許の地位の承継の規定がなく、譲り受ける会社が免許を持たない場合は新たに免許が必要です。
電気工事業の業務の適正化に関する法律(以下「電気工事業法」)
第3条(登録)
電気工事業を営もうとする者は、二以上の都道府県に営業所を置く場合は経済産業大臣、一の都道府県のみの場合は都道府県知事の登録を受けなければなりません。登録の有効期間は5年で、更新の登録が必要です。
第9条(承継)
登録電気工事業者が事業の全部を譲渡したとき、または相続・合併・分割(事業の全部を承継させるものに限ります)があったときは、譲受人・相続人・存続する法人などが登録電気工事業者の地位を承継します(欠格事由に該当する場合を除きます)。承継した者は、30日以内に届け出なければなりません(第3項)。
警備業法
第11条(変更の届出)
警備業者は、氏名・名称、営業所、役員などの認定申請書の記載事項に変更があったときは、主たる営業所の所在地を管轄する公安委員会に届出書を提出しなければなりません。警備業法には、事業譲渡・合併による認定の承継の規定がありません。
食品衛生法
第55条
飲食店営業など政令で定める営業を営もうとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、都道府県知事の許可を受けなければなりません。施設が基準に合えば許可され、5年以上の有効期間などの条件を付けることができます。
第56条
許可営業者が営業を譲渡したとき、または相続・合併・分割(営業を承継させるものに限ります)があったときは、譲受人・相続人・存続する法人などが許可営業者の地位を承継し、遅滞なく都道府県知事に届け出なければなりません(営業の譲渡による承継は、旅館業法等の一部を改正する法律(令和5年法律第52号)により加えられ、令和5年12月13日に施行されました)。
酒税法
第7条(酒類の製造免許)
酒類を製造しようとする者は、品目別・製造場ごとに、所轄の税務署長の製造免許を受けなければなりません。製造免許には、品目ごとの最低製造数量の基準があります。
第9条(酒類の販売業免許)
酒類の販売業(販売の代理業・媒介業を含みます)をしようとする者は、販売場ごとに、所轄の税務署長の販売業免許を受けなければなりません。
第19条(製造業又は販売業の相続等)
酒類製造者等について相続があった場合、または個人の酒類製造者等が製造業・販売業の全部を譲渡した場合、引き続き事業をしようとする相続人・譲受者は、遅滞なく税務署長に申告し、欠格事由に当たらなければ、相続・譲渡の時に免許を受けたものとみなされます。法人の事業譲渡・合併には適用がなく、譲り受ける法人などは新たに免許が必要です。
旅館業法
第3条
旅館業を営もうとする者は、都道府県知事(保健所を設置する市・特別区では市長・区長)の許可を受けなければなりません。構造設備の基準、設置の場所、欠格事由により、許可されないことがあります。
第3条の2
営業者が旅館業を譲渡する場合、譲渡人と譲受人がその譲渡・譲受けについて都道府県知事の承認を受けたときは、譲受人は営業者の地位を承継します(令和5年の改正で新設され、令和5年12月13日に施行されました)。
第3条の3
営業者である法人の合併(営業者が存続する場合を除きます)または分割(旅館業を承継させる場合に限ります)について都道府県知事の承認を受けたときは、存続する法人・新設の法人・承継する法人は営業者の地位を承継します。
旅行業法
第11条の2(旅行業務取扱管理者の選任)
旅行業者等は、営業所ごとに1人以上の旅行業務取扱管理者を選任し、取引条件の明確性や旅行の安全などに関する管理・監督の事務を行わせなければなりません。選任した管理者の全員が欠けた(または欠格事由に該当した)営業所では、新たに選任するまで旅行業務に関する契約を締結することができません。
第15条(事業の廃止等)
旅行業者等が事業を廃止したとき、事業の全部を譲渡したとき、分割により事業の全部を承継させたときは30日以内に届け出、法人が合併により消滅したときは役員であった者が届け出ます。旅行業法には事業譲渡・合併による登録の承継の規定がなく、譲り受ける者などは新たに登録が必要です(相続の場合だけ、死亡後60日以内に登録を申請すれば、その間は引き続き営業できます)。
介護保険法
第70条(指定居宅サービス事業者の指定)
指定居宅サービス事業者の指定は、居宅サービス事業を行う者の申請により、サービスの種類および事業所ごとに都道府県知事が行います。人員・設備・運営の基準を満たさないときや、欠格事由があるときなどは指定されません。
第75条(変更の届出等)
指定居宅サービス事業者は、事業所の名称・所在地などに変更があったときは10日以内に、事業を廃止・休止しようとするときはその1か月前までに、都道府県知事に届け出なければなりません。介護保険法には事業譲渡・合併による指定の承継の規定がなく、譲り受ける法人などは新たに指定を受ける必要があります(株式譲渡では指定は維持され、役員などの変更をこの条で届け出ます)。
医療法
第7条
病院を開設しようとするとき、医師・歯科医師でない者が診療所を開設しようとするときなどは、開設地の都道府県知事(診療所などは保健所を設置する市・特別区では市長・区長)の許可を受けなければなりません。
第44条
医療法人は、主たる事務所の所在地の都道府県知事の認可を受けなければ設立することができません。定款・寄附行為には、目的、名称、開設する病院などの名称と場所、役員、社員総会などの事項を定めます。
第46条の3
社員総会は、医療法に規定する事項および定款で定めた事項について決議することができます。法律上、社員総会の決議を要する事項を理事会などほかの機関が決定できるとする定款の定めは無効です。
第57条
医療法人は、ほかの医療法人と合併することができ、その場合は合併契約を締結しなければなりません(吸収合併契約は第58条、新設合併契約は第59条。合併には都道府県知事の認可が必要です。分割は第60条以下)。
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下「薬機法」)
第4条(開設の許可)
薬局は、所在地の都道府県知事(保健所を設置する市・特別区では市長・区長)の許可を受けなければ、開設することができません。申請書には、名称・所在地、構造設備、調剤などの業務の体制、法人では薬事に関する業務に責任を有する役員の氏名などを記載します。
第10条(休廃止等の届出)
薬局開設者は、薬局の廃止・休止・再開、または管理者などの変更をしたときは30日以内に、名称などを変更しようとするときはあらかじめ、都道府県知事に届け出なければなりません。薬局開設の許可には事業譲渡・合併による承継の規定がなく、譲り受ける法人などは新たに許可が必要です。
第24条(医薬品の販売業の許可)
薬局開設者または医薬品の販売業の許可を受けた者でなければ、業として医薬品を販売・授与し、またはその目的で貯蔵・陳列してはなりません。販売業の許可は、6年ごとに更新が必要です。
美容師法
第11条(美容所の位置等の届出)
美容所を開設しようとする者は、位置、構造設備、管理美容師その他の従業者の氏名などを、あらかじめ都道府県知事に届け出なければなりません。届出事項の変更や廃止のときも、速やかに届け出ます。
第12条の2(地位の承継)
届出をした美容所の開設者が営業を譲渡したとき、または相続・合併・分割(営業を承継させるものに限ります)があったときは、譲受人・相続人・存続する法人などが開設者の地位を承継し、遅滞なくその旨を都道府県知事に届け出なければなりません。
理容師法
第11条
理容所を開設しようとする者は、位置、構造設備、管理理容師その他の従業者の氏名などを、あらかじめ都道府県知事に届け出なければなりません。届出事項の変更や廃止のときも、速やかに届け出ます。
第11条の3
届出をした理容所の開設者が営業を譲渡したとき、または相続・合併・分割(営業を承継させるものに限ります)があったときは、譲受人・相続人・存続する法人などが開設者の地位を承継し、遅滞なくその旨を都道府県知事に届け出なければなりません。
貨物自動車運送事業法
第30条(事業の譲渡し及び譲受け等)
一般貨物自動車運送事業の譲渡し・譲受け、および事業者である法人の合併・分割(事業を承継させない場合などを除きます)は、国土交通大臣の認可を受けなければ、その効力を生じません。認可を受けた譲受人・存続する法人などは、許可にもとづく権利義務を承継します(相続による承継は第31条)。
倉庫業法
第17条(営業の譲渡及び譲受並びに法人の合併及び分割)
倉庫業者(発券倉庫業者を除きます)が倉庫業の全部または一部を譲渡したときは譲受人が、合併・分割があったときは存続する法人・承継する法人などが倉庫業者の地位を承継し、承継の日から30日以内に国土交通大臣に届け出なければなりません。
道路運送車両法
第78条(認証)
自動車特定整備事業を経営しようとする者は、事業の種類および特定整備を行う事業場ごとに、地方運輸局長の認証を受けなければなりません(令和2年4月1日の改正で、「自動車分解整備事業」から「自動車特定整備事業」に改められています)。
第83条(事業の譲渡)
自動車特定整備事業者が事業を譲渡したときは、譲受人は譲渡人の地位を承継し、30日以内に地方運輸局長に届け出なければなりません(相続・合併・分割による承継は第82条。いずれも届出制です)。
第94条の2(指定自動車整備事業の指定等)
地方運輸局長は、自動車特定整備事業者の申請により、認証を受けた事業場のうち基準に適合する設備・技術・管理組織と検査設備を有し、自動車検査員を選任して検査をさせると認められるものを、指定自動車整備事業として指定することができます。
古物営業法
第3条(許可)
古物商または古物市場主の営業を営もうとする者は、都道府県公安委員会の許可を受けなければなりません。古物営業法には事業譲渡・合併による許可の承継の規定がなく、譲り受ける法人などは新たに許可が必要です。
農地法
第2条第3項(定義)
「農地所有適格法人」とは、農事組合法人、非公開の株式会社または持分会社で、主たる事業が農業であること、議決権・構成員・役員の要件など、同項各号の要件のすべてを満たすものをいいます。
第3条(農地又は採草放牧地の権利移動の制限)
農地・採草放牧地の所有権の移転や賃借権などの設定・移転には、原則として当事者が農業委員会の許可を受けなければならず、許可を受けない行為は効力を生じません。
廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃棄物処理法」)
第14条(産業廃棄物処理業)
産業廃棄物の収集運搬業は業を行う区域を管轄する都道府県知事の許可(第1項)、処分業も都道府県知事の許可(第6項)を受けなければならず、いずれも5年以上の政令で定める期間ごとに更新が必要です。処理業の許可には事業譲渡・合併・分割による承継の規定がなく、譲り受ける法人などは新たに許可が必要です。
第14条の2(変更の許可等)
産業廃棄物収集運搬業者・処分業者が事業の範囲を変更しようとするときは、都道府県知事の許可を受けなければなりません(一部の廃止を除きます)。住所・役員などの変更や廃業などは届出です。
第15条の4(準用)
産業廃棄物処理施設については、施設の譲受け・借受けは都道府県知事の許可(第9条の5)、設置者である法人の合併・分割は都道府県知事の認可(第9条の6)、相続は届出(第9条の7)により、施設の設置者の地位を承継します(処理施設の許可に限られ、処理業の許可は承継されません)。
再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法(以下「再エネ特措法」)
第9条(再生可能エネルギー発電事業計画の認定)
再生可能エネルギー発電事業を行おうとする者は、発電設備ごとに事業計画を作成し、経済産業大臣の認定を申請することができます。計画には、申請者の氏名・名称、役員、事業の内容、設備の区分などを記載します。
第10条(再生可能エネルギー発電事業計画の変更等)
認定を受けた事業者が、事業の内容など計画の重要な事項を変更しようとするときは、変更の認定を受けなければなりません(軽微な変更は事前の届出)。申請者の氏名・名称・住所などの変更は、遅滞なく届け出ます。
保険業法
第276条(登録)
特定保険募集人(生命保険募集人、損害保険代理店、少額短期保険募集人。ただし特定少額短期保険募集人を除きます)は、内閣総理大臣の登録を受けなければなりません。
第302条(役員又は使用人の届出)
損害保険代理店、少額短期保険募集人または保険仲立人は、役員・使用人に保険募集を行わせようとするときは、その氏名・生年月日を内閣総理大臣に届け出なければならず、変更・退任・死亡のときも同様です。
貸金業法
第3条(登録)
貸金業を営もうとする者は、二以上の都道府県に営業所等を置く場合は内閣総理大臣、一の都道府県のみの場合は都道府県知事の登録を受けなければなりません。登録は、3年ごとに更新が必要です。
第8条(変更の届出)
貸金業者は、商号・役員・業務の種類などの登録申請書の記載事項に変更があったときはその日から2週間以内に、営業所・事務所の名称・所在地や広告に表示する連絡先を変更しようとするときはあらかじめ、登録をした内閣総理大臣または都道府県知事に届け出なければなりません。
商標法
第24条の2(商標権の移転)
商標権は、指定商品・指定役務が二以上あるときは、それごとに分割して移転することができます。公益に関する事業の商標権は事業とともにする場合に限り移転でき、地域団体商標の商標権は譲渡することができません。
第35条(特許法の準用)
特許法の規定の準用により、商標権の移転(相続その他の一般承継を除きます)は、登録しなければ効力を生じません。合併・分割などの一般承継による移転は登録なしで効力を生じますが、遅滞なく特許庁長官に届け出なければなりません。
資金決済に関する法律(以下「資金決済法」)
第3条(定義)
前払式支払手段とは、対価を得て発行され、発行者等から物品・役務を受ける際の代価の弁済に使えるもの(商品券・プリペイドカード・電子マネーなど)をいい、発行者等のみで使える自家型と、第三者の加盟店でも使える第三者型に分かれます。
第5条(自家型発行者の届出)
自家型前払式支払手段のみを発行する者は、基準日の未使用残高が初めて基準額(1,000万円)を超えたときは、内閣総理大臣に届出書を提出しなければなりません(第三者型の発行者は登録制です)。
第30条(自家型前払式支払手段の発行の業務の承継に係る特例)
相続・事業譲渡・合併・会社分割などにより自家型前払式支払手段の発行の業務を承継した者は、未使用残高が基準額を超えるときは自家型発行者とみなされ、遅滞なく承継の届出をしなければなりません。
屋外広告物法
第9条(屋外広告業の登録)
都道府県は、条例で定めるところにより、区域内で屋外広告業を営もうとする者に、都道府県知事の登録を受けさせることができます。登録の有効期間(法律で5年と定められています)、登録の要件、業務主任者の選任、登録の取消しなどは、第10条の基準に従って各都道府県の条例で定めます(登録の承継の扱いも、各都道府県の条例によります)。
掲載している判例
最高裁判所大法廷 昭和40年(1965年)9月22日 判決(営業譲渡(事業譲渡)の意義)
株主総会の特別決議を要する「営業の全部又は重要な一部の譲渡」(現在の会社法第467条第1項)とは、一定の営業の目的のため組織化され、有機的一体として機能する財産の全部または重要な一部を譲渡し、これにより譲渡会社がその財産によって営んでいた営業活動を譲受人に受け継がせ、譲渡会社が法律上当然に競業避止義務を負う結果を伴うものをいうとしました。
最高裁判所第二小法廷 昭和42年(1967年)11月17日 判決(名義株の帰属)
他人の承諾を得て、その名義を用いて株式の引受けがされた場合には、名義を貸した人ではなく、実質上の引受人が株主になるとしました。名義株について、名義ではなく実質で株主を判断する立場(実質説)を示した判例です。
最高裁判所大法廷 昭和43年(1968年)12月25日 判決(取締役の利益相反取引と第三者)
取締役の利益相反取引(現在の会社法第356条第1項第3号)には、取締役個人の債務について会社を代表して債務の引受けをするなど、取締役の利益となり会社に不利益を与える行為も含まれるとしました。取締役会の承認を欠く取引の無効を会社が第三者に主張するには、承認がないことについて第三者が悪意であったことを主張・立証しなければならないとしています。
- 用語関連当事者取引
最高裁判所第一小法廷 昭和61年(1986年)9月11日 判決(株主総会の特別決議を欠く営業譲渡の効力)
営業譲渡の契約が、譲渡会社の株主総会の特別決議を経ていないため無効である場合には、譲受人もその無効を主張できるとしたうえで、譲渡会社が債務を履行済みで、譲受人も契約を有効なものとして行動し、契約から約20年を経て初めて無効を主張したなどの事情があるときは、その主張は信義則に反し許されないとしました。
- 用語事業譲渡
- スキーム事業譲渡によるM&A
最高裁判所第二小法廷 平成16年(2004年)2月20日 判決(ゴルフクラブの名称の続用(営業譲渡))
ゴルフクラブの名称が、ゴルフ場の営業の主体を表すものとして使われている場合に、営業を譲り受けた者がその名称を引き続き使っているときは、特段の事情がない限り、商号の続用に関する規定(旧商法第26条第1項。現在の会社法第22条第1項)を類推して、会員が預けた預託金の返還義務を負うとしました。
- 用語事業譲渡
東京高等裁判所 平成17年(2005年)7月13日 判決(東京日新学園事件)
営業譲渡で、譲渡人と従業員の雇用契約関係を譲受人が承継するかどうかは、譲渡契約の当事者の合意で定められ、営業譲渡の性質として当然に承継されるものではないとしました。ただし、労働組合の活動を嫌って特定の従業員を排除する目的での不承継の合意は、公序に反して無効となり得るとしています。
東京地方裁判所 平成18年(2006年)1月17日 判決(表明保証違反に基づく補償請求の事件)
株式譲渡契約の表明保証の違反を認めた事案です。買主が重大な過失によって違反を知らなかった場合には、公平の見地から売主が責任を免れる余地があるとの考え方を示しつつ、デューデリジェンスは買主の権利であって義務ではないことなどから、本件では買主の重大な過失を否定しました。
最高裁判所第三小法廷 平成20年(2008年)6月10日 判決(ゴルフクラブの名称の続用(会社分割))
会社分割でゴルフ場の事業を承継した会社が、ゴルフクラブの名称を引き続き使っている場合には、特段の事情がない限り、会社法第22条第1項を類推して、会員が分割した会社に預けた預託金の返還義務を負うとしました。
- 用語会社分割
最高裁判所第三小法廷 平成21年(2009年)5月29日 決定(レックス・ホールディングス事件)
MBOに伴う全部取得条項付種類株式の取得価格について、原審(東京高等裁判所平成20年9月12日決定)は、公開買付けの公表前6か月間の市場株価の平均に、将来の増加価値の分配分として20%を加算して算定しました。最高裁判所は特別抗告・許可抗告をいずれも棄却し、原審の決定が確定しています。田原裁判官の補足意見は、取得価格は、MBOがなかった場合の価値と、MBOにより期待される増加価値のうち株主に帰属する分を合わせたものとする考え方を示しています。
最高裁判所第二小法廷 平成22年(2010年)7月12日 判決(日本アイ・ビー・エム事件)
新設分割において、商法等の一部を改正する法律附則第5条の協議がまったく行われなかった場合や、説明・協議の内容が著しく不十分で法の趣旨に反することが明らかな場合には、承継の対象とされた労働者は、労働契約の承継の効力を争うことができるとしました(本件では、協議が著しく不十分とはいえないとされました)。
最高裁判所第二小法廷 平成24年(2012年)10月12日 判決(新設分割と詐害行為取消権)
新設分割で設立された会社に債務が承継されず、分割について異議を述べることもできない分割会社の債権者は、詐害行為取消権を行使して、新設分割を取り消すことができるとしました(その後、平成26年の会社法の改正で、詐害的な会社分割で残された債権者の履行の請求の規定が設けられています)。
最高裁判所第一小法廷 平成27年(2015年)3月26日 決定(反対株主の株式買取価格と非流動性ディスカウント)
非上場会社で、吸収合併の反対株主が株式買取請求(会社法第785条第1項)をし、裁判所が収益還元法を用いて買取価格を決定する場合には、非流動性ディスカウント(市場性がないことを理由とする減価)を行うことはできないとしました。
最高裁判所第一小法廷 平成28年(2016年)7月1日 決定(ジュピターテレコム事件)
公開買付けの後に少数株主の株式を取得する二段階の買収で、独立した第三者委員会の意見を聴くなど、一般に公正と認められる手続きによって公開買付けが行われ、その後に同じ価格で株式を取得した場合には、特段の事情がない限り、取得の価格は公開買付けの価格と同じとするのが相当としました。
最高裁判所第三小法廷 令和5年(2023年)5月24日 決定(譲渡制限株式の売買価格と非流動性ディスカウント)
会社法第144条第2項にもとづき裁判所が譲渡制限株式の売買価格を定める手続で、評価額の算定の過程において株式に市場性がないことが考慮されていないなどの事情がある場合には、DCF法で算定した評価額から非流動性ディスカウントを行うことができるとしました。
ナレッジの入口に戻る / コラムの一覧 / M&A用語集
まずはお話をお聞かせください。
事業の承継、成長のための買収、業績の立て直し。どの段階のご相談でも承っております。検討を始めたばかりで、何から手をつけるべきか分からないという段階でも構いません。
初回のご相談は無償です。いただいた情報は秘密保持を徹底のうえ取り扱います。
