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農林水産業のM&A
農業・林業・水産業は、担い手の不足を背景に、第三者への承継の必要性が高まっている業種です。土地や権利についての特有の定めがあるため、一般の会社のM&Aと進め方が異なる点があります。早い段階で、制度上の制約を確かめておくことが宜しいかと思います。
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この業種のM&Aの特徴
土地・権利と結びついた事業
農地、山林、漁業の権利など、事業が土地や権利と強く結びついています。その利用を続けられることが、承継の前提となります。
技術と経験の継承
栽培や飼育、漁の技術は、長年の経験に支えられています。引継ぎの期間を十分に設けることが、事業の継続につながります。
天候と市況の影響
天候や市況によって、収量と価格が動きます。複数年の推移で実力を示すことが大切です。
加工・販売への広がり
加工や直接の販売まで手がけている場合は、販路とブランドが評価の対象となります。
買い手が確かめる点
- 土地・権利の利用の継続農地を所有しているか借りているか、契約の期間と相手方、権利の移転に必要な手続きが確かめられます。
- 補助金で取得した資産補助金を受けて取得した施設や機械には、処分や用途の変更に制限がある場合があります。条件と残りの期間が見られます。
- 販路と取引の条件出荷先の内訳、契約栽培などの取り決め、価格の決まり方が確かめられます。
- 人と技術中心となる方が残る期間、従業員や技能実習生の方の受入れの状況が見られます。
譲渡の前に整えておきたいこと
- 農地などの所有・賃借の関係を、契約書とあわせて一覧にします。
- 補助金を受けて取得した資産の一覧と、交付の条件を整理します。
- 品目別・出荷先別の売上と利益を、複数年で示せるようにしておきます。
- 作業の手順や栽培の記録を残し、引継ぎに使える形にしておきます。
スキームと、許認可・契約の引継ぎ
農地を所有できる法人には、農地法により、議決権や役員についての要件が定められています。株式譲渡によって株主の構成が変わると、この要件を満たさなくなる場合がありますので、譲り受ける側の構成を含めて設計する必要があります。農地を借りて営む形であれば、要件が異なります。
事業譲渡で農地を引き継ぐ場合は、農業委員会の許可などの手続きが必要です。漁業の権利や、森林についての計画なども、それぞれの制度に沿った手続きがあります。地域の関係者の理解を得ながら進めることも大切です。個別の判断は、弁護士などの専門家にご確認ください。
関連する法令・判例(参考情報)
- 法令
農地法 第2条第3項(定義)
「農地所有適格法人」とは、農事組合法人、非公開の株式会社または持分会社で、主たる事業が農業であること、議決権・構成員・役員の要件など、同項各号の要件のすべてを満たすものをいいます。
- 法令
農地法 第3条(農地又は採草放牧地の権利移動の制限)
農地・採草放牧地の所有権の移転や賃借権などの設定・移転には、原則として当事者が農業委員会の許可を受けなければならず、許可を受けない行為は効力を生じません。
法令は2026年10月17日時点の内容です。要旨は当社がまとめたもので、条文・判決の全文ではありません。個別の事案への当てはめは、弁護士・税理士などの専門家にご確認ください。表記の決まりは法令・判例の参考情報と凡例をご覧ください。
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