更新  経営の視点

買収の目的が曖昧なまま案件を見ると、高値づかみになります

何のための買収かを先に決めないと、判断の基準が持てません。買い手側で最初に整理すべきことを挙げました。

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この記事の要点

  • 目的が曖昧なまま案件を見ると、判断の基準が持てません
  • 買収は同業種に限る必要はなく、目的によって適切な相手が変わります
  • 買収後に何をするかまで描けて、初めて価格の妥当性が判断できます

買い手としてM&Aを検討される会社から、「良い案件があれば見たい」というご相談をいただくことがあります。

お気持ちは分かるのですが、この状態で案件を見始めると、たいてい良い結果になりません。

判断の基準が持てない

目的が決まっていないと、目の前の案件が良いのか悪いのかを判断できません。

すると何が起きるか。「利益が出ているから」「割安に見えるから」といった、案件単体の条件で判断するようになります。

その結果、自社の戦略と関係のない会社を買い、統合できずに持て余すことになります。のれんの減損という形で、数年後に損失が表面化することもあります。

何を得るための買収か

まず整理すべきは、次の点です。

販売チャネルの獲得:既存商品を売る先を増やしたい。この場合、同業種である必要はありません。顧客層が重なる別業種のほうが有効なこともあります。

人材の確保:採用が困難な職種の人材を、会社ごと取得する。技術者や有資格者の確保が目的であれば、事業規模は小さくても構いません。

仕入・生産能力の統合:規模を集めて仕入条件を改善する、あるいは生産拠点を確保する。この場合は同業種が対象になります。

地域の補完:営業エリアを広げたい。地方に強い企業の取得が有効です。

時間を買う:自社で立ち上げると3年かかる事業を、買収で即座に手に入れる。

目的が決まると探索範囲が決まる

目的が明確になれば、どのような会社を探すべきかが決まります。

「売上10億円以上の同業」という漠然とした条件ではなく、「首都圏に自社にない販売網を持ち、顧客層が重なる会社」といった形で絞り込めます。

探索範囲が定まれば、案件を見たときの判断も速くなります。

買収後に何をするかまで描く

もう一つ重要なのは、買収後の絵を描いてから価格を判断することです。

シナジーが年間5,000万円見込めるのか、2,000万円なのか。それがいつから発現するのか。ここが具体的でないと、いくらまで出せるかの判断ができません。

当社ではビジネスデューデリジェンスの段階からPMIの設計に着手します。調査の目的を「リスクの発見」だけでなく「統合の設計」に置くということです。

ロールアップを考えるなら、なおさらです

複数社を順次買収していく戦略であれば、1社目の統合が成功するかどうかが、その後すべてを左右します。

1社目で躓くと、社内に「M&Aは難しい」という認識が生まれ、2社目の意思決定が慎重になりすぎます。逆に成功すれば、標準化された手順が蓄積されていきます。

最初の1社は、規模よりも統合しやすさで選ぶという判断もあります。

ご相談の段階から

当社は買い手側のご支援も承っております。まず何を得るための買収なのかを整理させていただき、そのうえで探索の範囲を設計いたします。

詳しくはM&Aアドバイザリーをご覧ください。

この記事に出てくる用語

買収戦略シナジーのれん

本コラムは一般的な情報の提供を目的としたものであり、個別の事案に対する助言ではありません。実際のご判断にあたっては、専門家にご相談ください。

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