「売ると決めたわけではないが、いくらくらいになるのかは知っておきたい」。こうしたお声をよくいただきます。
当社のサイトでは、決算書の数字をご入力いただくと概算のレンジをお出しする企業価値の簡易算定を公開しています。この記事では、その結果の読み方と、数字だけでは分からない部分をご説明します。
なお、本算定は、確定的な企業価値評価ではなく、参考資料として簡易に算定した概算額でございます。正式な評価をご希望の場合は、公認会計士等の専門家にご相談いただけます。
入力するのは、業種と決算書の7つの数字です
業種、売上高、営業利益、オーナー報酬の調整額、減価償却費、純資産、現預金、有利子負債。直近の決算書があれば、1分ほどで入力できます。
「オーナー報酬の調整額」は、役員報酬のうち、譲渡後は発生しなくなると見込まれる部分です。たとえば、相場より多めに取っている報酬や、事業に関係のない経費がこれに当たります。これを営業利益に足し戻した数字を、実質営業利益と呼びます。
2つの方法で、レンジを出します
年買法
純資産に、実質営業利益の数年分を加える方法です。中小企業のM&Aで広く使われています。何年分を加えるかは業種によって幅があり、当社の簡易算定では業種ごとの目安を用いています。
年買法の考え方
実質営業利益 = 営業利益 + オーナー報酬の調整額。参考資料として簡易に算定した概算額で、確定的な評価ではありません
EBITDA倍率法
実質営業利益に減価償却費を加えたEBITDAに、業種ごとの倍率を掛け、有利子負債を差し引いて現預金を加える方法です。
EBITDA倍率法の考え方
参考資料として簡易に算定した概算額で、確定的な評価ではありません
見本の数字で見ると
簡易算定のページに掲載している見本(架空の会社)では、次のようになります。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 営業利益 | 3,600万円 |
| オーナー報酬の調整額 | 900万円 |
| 実質営業利益 | 4,500万円 |
| 減価償却費 | 600万円 |
| EBITDA | 5,100万円 |
| 純資産 | 1.20億円 |
| 現預金 | 6,500万円 |
| 有利子負債 | 5,000万円 |
この会社(サービス・BPO)の場合、年買法では2.33億円〜3.00億円、EBITDA倍率法では2.19億円〜3.21億円となり、概算のレンジは2.19億円〜3.21億円です。
2つの結果を見比べると、分かることがあります
年買法のほうが高く出る会社は、純資産が厚い会社です。内部留保や不動産の比重が大きく、利益の水準に対して資産が多い状態といえます。
EBITDA倍率法のほうが高く出る会社は、資産に対して稼ぐ力が大きい会社です。設備投資が大きく、減価償却費が多い会社もこちらに当たります。
2つの結果が大きく離れている場合は、どちらの見方が自社の実態に近いのかを考える材料になります。
簡易算定では分からないこと
決算書の数字だけでは、次のような要素を反映できません。
- 資産の時価:土地や有価証券の含み益・含み損、回収が難しい債権
- オーナーへの依存の度合い:営業や技術が特定の方に頼っていないか
- 取引先の集中:売上が少数の取引先に偏っていないか
- 買い手にとっての相乗効果:相手先によって、提示できる条件が変わります
- 簿外の負債:未払残業代など、決算書に載っていないもの
実際の価格は、こうした要素と、相手先との交渉によって決まります。簡易算定の結果は、検討を始めるための目安としてお使いください。
結果を、次の一歩にどう使うか
結果が想定より低かった場合は、譲渡の時期を急がず、価値を高める取り組みに時間を使うという選択ができます。実質営業利益と管理体制が改善すれば、評価の前提そのものが変わります。
想定に近かった場合は、どのような相手先であれば条件が良くなるのかを確かめる段階です。
いずれの場合も、算定の結果をもとにご相談いただければ、数字に表れていない要素を伺ったうえで、見立てをお伝えします。結果の画面から、そのままお問い合わせいただけます。
