M&Aの支援を依頼する際、アドバイザリー契約を締結します。この契約の内容を十分に確認しないまま署名し、後から揉めるケースが少なくありません。
確認すべき5つの条項を挙げます。
1. テール条項
契約が終了した後も、一定期間内に「当社が紹介した先」と成約した場合には報酬が発生する、という定めです。
支援を受けながら契約を解除して報酬の支払いを回避する事態を防ぐためのものですから、条項自体は合理的です。
確認すべきは期間と対象範囲です。期間が2年を大きく超える、あるいは「当社が接触したすべての先」といった広い書き方になっている場合は、説明を求めてください。
テール条項が働く期間
期間と対象の範囲が広すぎないかを、契約の前に確かめます
当社の場合、期間は終了後24か月、対象は当社が紹介した先に限定しています。
2. 専任義務
契約期間中、他のM&A仲介会社やFAに重複して依頼しないという条項です。
支援会社の側から見れば、労力をかけて探索しても他社に先を越されるのでは投資できないため、これも合理的な条項です。
ただし、専任である以上、その会社の探索力が案件の成否を決めます。契約前に、どのような候補先にアプローチする想定かを具体的に聞いておくべきです。
3. 解約条件
いつまでに、どのような方法で申し出れば終了できるのか。自動更新の有無と期間も確認します。
当社では契約期間を6か月とし、14日前までにお申し出がなければ3か月ごとに自動更新される形です。
当社のアドバイザリー契約の期間と更新
確かめたいのは、終了の申し出の期限と自動更新の有無・期間です
4. 報酬の算定基準
成功報酬をレーマン方式で算定する場合、何を基準金額とするかで報酬額が大きく変わります。
株式譲渡代金を基準とするのか、負債を加えた移動総資産を基準とするのか(加える負債の範囲も確認します)。後者のほうが基準額は大きくなります。
成功報酬の基準の金額
移動総資産を基準とすると基準額は大きくなり、何を基準とするかで報酬額が変わります
最低報酬額も確認してください。取引金額が小さい案件では、料率計算より最低報酬額が適用されることになります。
5. 利益相反に関する定め
仲介の場合、相手方当事者からも報酬を受けるのかどうか。受けるのであれば、その旨が契約書に明記されているか。
中小M&Aガイドラインは、契約締結前に利益相反の内容と措置を書面で説明することを求めています。この説明を実際に行っているかどうかは、支援機関を選ぶ際の判断材料になります。
説明を求めることは失礼ではありません
これらの確認は、当然の権利です。説明を渋る、あるいは「他社も同じです」とだけ答える支援会社であれば、依頼先を再考されたほうがよいと思われます。
当社では、契約締結に先立ち、利益相反の内容と措置、料率テーブルと最低報酬、テール条項、解約条件を書面でご説明しています。詳細は中小M&Aガイドラインの遵守についてをご覧ください。
